東日本大震災 被災状況調査報告(仙台市)
インテグラルでは東日本大震災の被災状況を調査すべく、3月27~28日に仙台に赴きました。弊社では、過去に各地で起こった大地震の際にも現地調査を行っておりますが、今回の東日本大震災は、地震と同時に発生した津波の影響が非常に大きく、今まで見たどんな被災地よりも悲惨な現状を目の当たりにしました。高速道路(東北道)が開通したにもかかわらず、ガソリンや人手不足のためか被災地には物資が行き渡っていませんでした。また膨大な瓦礫撤去に必要な重機なども不足していて、今なお行われている不明者の捜索や瓦礫の撤去は困難極まりない状況でした。
そのような状況下で調査した各地区の被災状況を報告します。
(調査結果をPhotoLinksWebで確認する。)
●岡田小近辺
・建物の外壁に津波の水の後が残っており、津波の高さを伺い知ることができる。
・建物の全壊や半壊は少ないが、津波による瓦礫の流入が大量にあった。
・道路も瓦礫で道幅の半分くらいが覆われている状態。
●荒浜地区
・住宅地は、はじめから何も無かったような荒野のような状態。
・周辺の田んぼには大量の瓦礫や車が散乱している。
・竜巻や台風でもこうはならないのでないか、と目を疑うような光景。
・建物が建っていた場所には、基礎だけが残っていて、唯一そこに建物があったことを知ることができる。
・被害が甚大な地区であり、自衛隊・消防士・警察官が所々で災害支援や不明者探索を行っていた。
・一方、津波被害が甚大な沿岸部から2kmほど離れると、建物の目立った被害が極端に少なくなる。
●宮城野区
・津波が来なかった地域のため建物の致命的な被害はあまり見受けられない。
津波の影響を受けなかった地域の状況から推察すると、地震の揺れによる被害のほとんどは、屋根や外壁が一部損壊した程度と思われます。築年数が経った住宅は、比較的新しい住宅に比べ、屋根や外壁の損壊のほか、梁の崩落などもあり、大きな被害を受けていました。ニュース等ではあまり報道されていませんが、岩手や宮城の県境付近では震度7を観測していることもあり、地震による建物の被害も大きいようです。
とは言え、壊滅的な被害の原因は津波によるところがほとんどだと言えます。残念ながら、今回のような津波は、住宅にどのような補強をしても防ぎようがありません。せっかく建てた家が一瞬にして津波で流された被災者の方は、一生立ち直れないくらいの心理的なダメージを負われたに違いありません。また経済的に
もローンなどが深刻なため、震災前の生活水準の回復・維持は難しいと思われます。過去の通例にとらわれず、少しでも被災者の負担が軽減され、将来に対して希望を持てるような支援策が必要ではないでしょうか。
東日本大震災による経済損失は25兆円とも言われていますが、復興に必要な時間・物資・経済資産は途方もないだろうと、現地を見て肌で感じました。支援や対策は、個人(個々の建物)レベルでは到底対応できるものではなく、国や自治体レベルで対応するしかないと思います。
被災地の現状を思い、節電や不要な買いだめをしないなど、わたしたち一人一人が少しでもできることをしなければならないと感じました。インテグラルとしても、せめて地震による被害を少なくするために、耐震化の重要性を広め、耐震化を推進していく努力を継続していかなければならないと考えています。
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