”いえかるて”(住宅履歴情報) 前半
先日、一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会の定時総会へ参加した際、同会場で行われた第2回住宅履歴情報蓄積・活用推進会議を傍聴してきました。
今後の日本の住宅ストック市場に関する興味深い議論がありましたので、ご紹介したいと思います。
まず、一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会というのは、H22年に設立ほやほやの会です。
本会は、国の進める住宅ストック市場活性化の重要骨子である、住宅履歴情報の蓄積を推進しています。住宅履歴情報とは、”いえかるて”という愛称で、呼ばれているので、お聞きになったことがある方もいらっしゃると思います。住宅のストック化とは、つまり、住宅の使い捨てから脱却し、長いスパンで社会資産としてとらえ流通を促進していこうというものです。その流れの中で、建築時やリフォーム時の設計図書をしっかりと残し、年月が経過しても中古住宅の資産価値の低減を抑え、手入れをしやすくしようというものです。
この会に、インテグラルも会員企業として参画しております。インテグラルのサービスとしては、”ホームズ君マイホーム履歴書”があります。
大手住宅メーカーでは、先駆けて独自の長期保証をサービスしてきていますので、このような図書の保管というのは、当たり前になされていました。しかし、一方、中小工務店や建売住宅ではあいまいに管理されてきたケースもあるようです。設計図書が何一つないというのも珍しい話ではないのが、残念ながら日本の中古住宅市場の実態といえます。
住宅履歴は消費者保護の立場からも重要だといえます。住宅性能表示制度や瑕疵担保履行法などの各種制度や、さまざまな建築設計基準の厳格化の流れの中で改善されつつありますが、依然として建築士の判断に大きな裁量が与えられているのが住宅建築市場です。そのような中で、設計図書をきちんと整備し保存していくことが制度化されること(=”いえかるて”)は施主にとってのメリットは当然大きいといえます。
話が長くなってきてますが、このように、住宅履歴蓄積の考え方自体はいい方向なのですが、実際は、いろんな課題があります。まず、履歴を残すためのコスト負担の問題です。消費者や施工者が、履歴を残すためのコストを、必要経費として見込もうという考え方がなかなか浸透しません。消費者にとっては、設計図書を残すことは施工者の責任だと考えますし、施工者にとっては極力経費を削減したい折、完成図書の作成はもとよりそれらを整理して登録することにコストをかけるほど、体力がないからです。
また、一方、運用面でもさまざまな問題があります。住宅履歴情報の所有者は施主だというのが原則の考え方ですが、売買契約の際、その所有権もあわせて譲渡されるのでしょうか。法的には何も縛りがないので、それ以前に、登録されている情報が正しいかは誰もチェックしていません。登録を受けている機関は、あくまで、情報を識別IDキーに保管するだけなのです。
このような状況の中で、”いえかるて”を促進するために、どうしたらよいかを話し合っているのが、”住宅履歴情報蓄積・活用推進会議”です。蓄積情報の活用メリットを高めることが課題とされています。
日本の既存住宅件数 約5,000万戸に対して、いえかるてサービス登録件数 12,358戸
まだまだ、走りはじめです!
少し長くなってしまったので、つづきは、次回とさせていただきます。
参考URL:”いえかるて”パンフレットは、こちらから
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