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2012年6月22日


2012年5月6日 つくば市竜巻 藤田スケール「F2」→「F3」に変更

2012年5月6日につくば市北条地区で発生した竜巻について、気象庁は6月8日に現地調査報告を発表し、竜巻の強さを示す「藤田スケール」を、5月7日発表の「F2」(7秒間の平均風速50?69m/s)から「F3」(5秒間の平均風速70?92m/s)に変更しました。 「F3」は6段階(F0~F5)中の強い方から3番目で、国内では観測史上最大級です。 (より強い「F4」以上の竜巻は日本では観測されていません)   ▼気象庁 現地調査報告 (2012年6月8日報道発表)     http://www.jma.go.jp/jma/menu/tatsumaki-portal/tyousa-houkoku.pdf   ▼参考)気象庁 藤田(F)スケールとは     http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/tornado1-5.html これに先立ち、東京工芸大学の田村幸雄教授は、5月27日に風洞実験(基礎ごと転倒した住宅を想定)を行い、転倒限界風速を瞬間風速109~121m/sと試算し、竜巻は「F3」以上であり、局所的に前述の強さの風が吹いていた可能性があると予測され、インテグラルは建物重量や建物の耐力等の計算等について田村教授に協力させていただきました。 これを5月31日の気象庁の竜巻等突風予測情報改善検討会において発表されました。 インテグラル担当部分はホームズ君「構造EX」で計算を行い、田村教授にご提供しました。 構造計算が必要な部分はホームズ君「構造EX」の「許容応力度計算オプション」(財団法人日本住宅・木材技術センター「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」準拠)で計算しました。   ▼詳細は、日経ホームビルダー2012年7月号(株式会社日経BP発行)をご覧ください。    田村教授やインテグラルの検証結果が掲載されています。    
■基礎ごと転倒した住宅 以下の項目を計算しました。
計算項目 内容・目的
(1)建物重量 建物全体の転倒や浮き上がりに必要な風速の算出に使用
(2)2階・1階・基礎の接合部の耐力の計算 2階~基礎が緊結されたまま転倒するために、どの程度接合部に耐力が必要だったのか検証
▼計算のイメージなど   
■2階屋根が飛散した住宅 以下の項目を計算しました。
計算項目 内容・目的
(1)2階屋根の重量 2階屋根飛散に必要な風速の算出に使用
(2)2階屋根の各接合部の耐力の計算 2階屋根飛散に必要な風速の算出に使用
(3)2階屋根の垂木の負の風圧に対する断面検定 負の風圧により垂木が破壊される可能性を検証
(4)2階屋根の各接合部の負の風圧に対する検定 負の風圧により屋根各部の接合部が破損する可能性を検証(小屋梁より上が飛散したとみなし、垂木-軒桁接合部、小屋束-小屋梁接合部を確認)
▼計算のイメージなど
■所感 田村教授に協力させていただき、住宅が基礎ごと転倒したり、2階屋根が飛散するメカニズムを数値や計算をもとにシミュレーションし検証するプロセスを経験したことで、事象を科学的に分析する大切さをあらためて感じました。 竜巻という非日常的な現象や被害に対しても、冷静に客観的な分析を行い、今後の対策などにつなげていこうとされる田村教授や関係者の姿勢にならい、インテグラルとしてもあらためて、防災面や技術面など、できることからでも貢献していきたいと考えています。
■参考   ▼「竜巻で基礎ごと転倒した住宅」を想定した風洞実験(2012年5月27日)     https://www.integral.co.jp/blog/other/2012/06/01-1106   ▼気象庁 竜巻等突風予測情報改善検討会 (2012年5月31日)     http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/H24kentoukai.html   ▼気象庁 竜巻ポータルサイト ~平成24年5月6日に発生した竜巻について~     http://www.jma.go.jp/jma/menu/tatsumaki-portal.html