東日本大震災から2年を目前に控えた3月8日、インテグラルは仙台、石巻、女川、南三陸、陸前高田の現場踏査を行いました。 震災発生直後から幾たびか、震災の被害にあった地域を調査のために訪れています。 今回は、復興の状態を自分たちの目で確認するための訪問のはずでした。
(撮影日 左:2013年3月8日、右:2013年3月9日)
新聞やニュースなどでも取り上げられていますが、実際に現地にいって強く感じたのは、東日本大震災からの復興は、まだまだこれからということです。 今現在も30万人以上の人々が自宅を離れて生活しています。 住宅再建には課題が多く、場所によっては、震災瓦礫の仕分けは終わっても処理はされず、山積みになっている様子が見られました。 被災地に必要なのは単なる復旧ではなく、被害にあった地域の再生と将来を見据えた都市計画にもとづく復興であり、それにはそこに暮らす人々の意見・希望を欠いてはならないと感じました。 そんな思いを胸に石巻市を車で通ったとき、数日前に放送されたNHKスペシャル「”いのちの記録”を未来へ ~震災ビッグデータ~」の1シーンを思い出しました。 震災ビッグデータとは、NHKやグーグル日本法人、ツイッター社など8社・団体が、それぞれが有する膨大な災害関連情報(カーナビの走行記録、携帯電話の位置情報、ツイートなど)のことだそうです。 これらのデータを持ち寄り解析することにより、人々がどう行動したのかを明らかにし、さらに、このビッグデータを利用して「新たな防災ツール」を構築しようという産官学を越えたプロジェクトが立ち上がっているそうです。 その番組で、震災直後に石巻市で発生した超渋滞現象「グリッドロック」が紹介されていました。 グリッドロックとは、ある交差点に想定を超える自動車が殺到して渋滞が生じ、四方に延びた渋滞の列が別の交差点の通行を妨げることで次々と周辺の交差点が詰まって渋滞が連鎖していく超渋滞現象だそうです。 特にこの現象を発生させやすいのが、交差点に近い橋の部分とのこと。 番組では、この橋の車線をあらかじめ増やしておくこと、付近の商業施設を車を使った避難場所として活用することでこの現象を抑制しようとする研究がすすんでいることが放送されていました。今回の現地踏査で、このグリッドロック現象のために身動きができず、 そこで多くの人が津波に巻き込まれたであろう市街地を通りました。 橋で囲まれた市街地は普段から渋滞がちだったそうですが、この時も 市街地から橋に向かう道は、さほど交通量が多くないにもかかわらず 長い渋滞が発生していたのでこの地域の問題点を改めて実感しました。 東日本大震災は、この高度に情報化された社会が遭遇したはじめての大災害です。 これらのデータを被災地の今後の復興のために活用することの意義・重要性を、現地を目の当たりにすることでこれまで以上に強く感じました。 データの中に残された犠牲になられた方々の行動を理解し、次の災害の備えとすべきこと、それには現場をよく知る、よく見ることが不可欠であることを感じた今回の現場踏査でした。