南海トラフ地震被害想定 示された最大級の危機にむけて、できること
2013年3月18日、政府の中央防災会議作業部会が、南海トラフ巨大地震について被害額が最大220兆円を超えるとの試算を発表しました。昨年2012年8月29日には、最悪の場合、死者32万人、全壊・焼失する建物238万棟という被害想定が発表されています。
公表された数字の大きさにとまどったり、「千年に一度、あるいはそれよりもっと低い頻度」という発生確率に自分が生きているうちにはおきないかもという感情が生まれてくるかもしれません。 この、最悪のシナリオに沿った被害想定が公表された目的はいったい何なのでしょうか。 それは、2年前の東日本大震災への強い後悔と反省なのかもしれません。東日本大震災は、政府や研究者にとっては「想定外」「起こりえない」巨大地震だったようです。その、「起こりえない」地震が発生し、2万人近い死者・行方不明者をだしてしまったのです。おきてしまった災害に対して、もはや「想定外」などということはできないのです。
南海トラフの地震被害想定では、建物の耐震化などの減災により被害は半減できるといっています。いつ起こるとも知れない大災害に備えるためには、優先順位をつけて、現実的な対応をこつこつと積み重ねていくことが肝心ではないでしょうか。 身近な減災対策として、まずできるのは住宅の耐震化です。今国会に、住宅にも耐震診断及び必要に応じた改修の努力義務が創設された耐震改修促進法の改正案が提出されています。政府は、住宅の耐震化の目標を、2027年までに90%(H.17地震防災戦略、H.18耐震改修促進法改正)、2032年までに95%(H.22新成長戦略、H.23住生活基本計画、H.24日本再生戦略)としています。 耐震診断、耐震改修を行うためには、費用が発生しますが、その負担を減らすために、耐震改修促進税制の拡充や省エネリフォームとあわせて行う耐震改修に補助金(補助額最大75万円)をだすなどの支援措置も講じられようとしています。
「できることからはじめよう」、これがこの被害想定が公表された目的の一つではないでしょうか。むやみに恐れる必要はありません。正しく恐れ、正しく備える。来るべき巨大地震は、南海トラフ巨大地震だけではありません。首都直下地震やその他の地震に、自分たちでやれることから一つひとつ備えをしていきましょう。
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