和風のテイストを取り込んだ少し狭めのアプローチ、天然木で作られた引き戸式玄関ドア(しかも、黒塗り)。こだわりがずしずしと感じられました。 緊張しつつ、そこを開くと、南東方向からの採光を工夫した明るい玄関。いい意味で期待を覆された感じさえしました。 玄関土間部分と居室の区切りにはポリカーボーネートの室内扉があり、冬場は玄関の開け閉めの際の冷たい空気がここで一旦ストップできる工夫になっていました。 そして、扉の向こうに目をやると、1、2階吹抜けの広く明るい空間が広がっていました。 GLが奥に向かって若干上がっているのを利用して、床面があがっています。そして奥に暖炉。 1階床面積58.35平方メートルというのに、それ以上の奥行き感・解放感を感じる空間設計です。
回り階段を上りつつ・・・外の桜が見えるだろうなと予想しながら2階にあがってみると!!! 空中ダイニングと名付けたいような、想像をはるかに超えたのびのびとした風景が飛び込できました。緑と桜の花が窓いっぱいに広がっています。 公園側に配置された4連窓からの眺めは、一日中桜を独り占めと言わんばかりです。 ふりかえると、ダイニング、フリースペースがスキップになっていて、視界を上部方向にセットさせられつつ、視界最終位置には窓。しかも南東の角なので光を受けていますが障子が柔らかく室内を照らしています。 奥行感の演出が憎すぎませんか。
天井面の木の現しが繊細かつ直線的でシャープ感を強調。 一方、漆喰壁の角はアールに。巾木もなにげなくアールに。 こうした細かいところは、泉幸甫氏設計ならではのこだわりだそうで、大工さんの腕の見せ所だったそうです。 ダイニングに続くリビングでは、子どもたちが仲良く遊んでいました。 汚さないかな・・・そんなことを心配しながら、奥に進んでいくと、本格的な茶室が!!! お茶の心得のある施主ならではのこだわりがそこにもありました。 小さい子どもにこそ、ホンモノの木の風合い、ホンモノの茶道の心をを伝えたいという施主の想いがあれば、汚れるなんていうことは心配ないようです。そして、ホンモノのオーラに子どもたちも感じるところがあるのか、傷つけたり壊したりすることはないとのことでした。
このような素敵な、しかも、巨匠の設計した住宅であれば、断熱性能は犠牲に・・・?というのは、昔の話。 意匠面のメリットは、温熱環境・光視環境としても有利な設計となっているのです。巨匠の野生の感でしょうか・・・(笑) 参考までに、『ホームズ君すまいのエコナビ』でシミュレーションした日照時間シミュレーションを見てください。3方向に隣棟があるのに、主たる居室への日照の取り込み具合、完璧です。
そして、北西に流れる屋根でありながら、勾配を抑えることで太陽光発電は5.8kwを搭載し、ZEH基準を達成しています。
ZEHといえば、メカメカハウスなどと言われる住宅が想像されますが、ここで紹介したような巨匠のアイディア満載の意匠でも、 自然素材にこだわり、温熱環境、そして、もちろん構造にもバランスよく、丁寧に設計された家。 これから、2030年に向けて目指すべきZEHのプロトタイプといえる物件でありました。 最後に、この住宅の持ち主であり、エコやBAOBAB代表取締役社長の山田知平様と設計をされた泉幸甫氏。
今回は、大賞を逃して残念がられていましたが、その自信、ホンモノであることを確認させていただきました。 インテグラルは、2016年も日本エコハウス大賞に協賛します。 みなさま、ふるって、ご参加ください。